伊豆半島とその周辺部を産地とする「伊豆石(IZU-Ishi) 」

「伊豆石」とは

伊豆半島及び周辺地域で採掘される石材の総称で「伊豆石」と言います。伊豆石には採掘地により様々な呼び名があります。(青石、白石、若草石、沢田石、小室石、徳倉石、多比石、小松石…その呼び方は石の特徴に由来したり、地名に由来したり様々です)例えば「伊豆長岡の石は青石」と言われています。様々な地質からなる伊豆半島は石の宝庫です。

「堅い石」と「軟らかい石」2タイプの「伊豆石」

伊豆石は「堅い石」「軟らかい石」の2つのグループに分けられます。

1)堅石(火成岩系)―安山岩・・硬くて丈夫な石材のグループ
 地表に噴き出たマグマが固まった岩石です      

2)軟石(堆積岩系)凝灰岩・・軟らかく加工しやすい石材のグループ
 火山灰などが地上や水中に堆積してできた岩石です
 

中でもよく知られている「伊豆若草石」は、ほんのり緑がかった色味が特徴の“緑色凝灰岩”。優しい風合いと加工のしやすさで、庭園や石造りの建物に彩りを添えています。

※江戸時代後期や明治時代からは、伊豆石と言えば凝灰岩系の軟らかい石と言われてきました     伊豆石=伊豆軟石 

人気の凝灰岩グループ=加工しやすい伊豆軟石

「伊豆軟石」と東京の近代建築

凝灰岩グループの「伊豆石」は軽くて、加工しやすく、耐火性に優れているということで、特に建築資材として多く使われてきました。
「伊豆軟石」の使用は、、ちょうど日本が近代化へと進み始めた幕末から明治時代初期。西洋建築の意匠を取り入れた“擬洋風建築”に多く使用され、まさに文明開化を象徴する素材としてその存在感を放っていました。

その後も、東京の都市基盤を形づくる建築の中核として伊豆軟石は多く採用されました。近代化が進む中で建てられた代表的な建物のほとんどに伊豆石が使われていたと言われるほど、その存在は街の歴史と深く結びついています。
火山灰が堆積してできる凝灰岩だからこそ、加工しやすく、そして火にも強い――。そんな天然素材ならではの性質が、日本の建築文化を支える礎となったのです。

擬洋風建築(ぎようふうけんちく)とは、幕末から明治時代初期の日本において、主として近世以来の技術を身につけた大工棟梁によって設計施工された建築である。従来の木造日本建築に西洋建築の特徴的意匠や、時には中国風の要素を混合し、庶民に文明開化の息吹を伝えようと各地に建設された。明治の開始と共に生まれた擬洋風建築は、1877年(明治10年)前後にピークを迎え、1887年(明治20年)以降に建築が途絶えており、その時期は文明開化と重なっている。建物の構造は、日本伝統の和小屋組を用い、外観に洋風デザインを採用している。~「擬洋風建築」『ウィキペディア フリー百科事典日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)アクセス日時:2025年7月9日

「伊豆石」の現状

伊豆軟石」は“幻の石”

現在伊豆半島では「伊豆石」は産出されていません。採掘自体が法律で規制されているほか、職人の高齢化による廃業、そして石材そのものの需要減少など、複数の要因が重なって多くの採掘場が姿を消しました。

凝灰岩系の伊豆石の中で数年前まで唯一稼働していた「伊豆若草石」の採掘場も事故により閉鎖されており、伊豆軟石の新材は完全に市場から姿を消しています。伊豆半島の温泉地等施設の建材として活用された人気の「伊豆軟石」はその新しい原石を手に入れることは不可能となり、現在では“幻の石”となっています。

かつて多くの温泉施設や建築物で使われた伊豆軟石は、今もなお地域の記憶や景観の中でその存在感を放っています。その美しさと機能性を持ち合わせた石材が、もう手に入らないという事実は、時代の流れを象徴するようです。

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